性格と恋愛
「この組み合わせは相性がいい」という表は、このページには出てきません。作れるだけの根拠がないからです。代わりに、研究で繰り返し報告されてきたことだけを、決めつけない書き方で並べます。
相性ランキングを作らない理由
性格診断サイトの定番に「◯◯タイプと△△タイプは相性◎」という表があります。読み物としては面白いのですが、タイプの組み合わせから関係の行方を予測できるという証拠は、ほとんど見つかっていません。
実際、大規模な調査でも「二人の性格の組み合わせ」が関係満足度を説明する力は非常に小さく、それよりもその人自身の性格や、相手が自分の関係をどう感じているかのほうがずっと大きく効くことが報告されています。
だから本サイトでは、相性の判定をしません。友達と比べるページでも、共通する軸と違う軸を並べるだけで、良し悪しは書いていません。
研究で分かっていること
いっぽうで、自分自身の性格と関係満足度のあいだには、一定の関連が繰り返し報告されています。メタ分析(多数の研究をまとめた分析)でおおむね一致しているのは次の点です。
- 神経症傾向が高いほど、関係満足度はやや低めに報告される傾向がある(5軸の中でもっとも一貫している関連)
- 協調性・誠実性が高いほど、満足度はやや高めに報告される傾向がある
- 外向性との関連は小さく、研究によってばらつく
- 開放性との関連はさらに小さい
ここを読み違えないでください。これらの関連はどれも小さいものです。「神経症傾向が高い人は恋愛がうまくいかない」ということではありません。同じスコアの人の中に、長く幸せな関係を続けている人も、そうでない人も、どちらも大勢います。性格は要因のひとつにすぎず、しかも大きい要因ではありません。
軸ごとに、恋愛のどこに出るか
以下は「この軸が高い人はこうなる」という断定ではなく、差が出やすい場面の話です。
神経症傾向——不安の扱い方
高めの人は、相手の返信が遅いこと、言い方が少し違ったこと、そうした小さな変化をよく拾います。気づけること自体は力ですが、拾った不安をひとりで育ててしまうと消耗します。不安を相手を責める形ではなく、自分の状態として伝えられるかが分かれ目になりやすいところです。
低めの人は動じにくいぶん、相手が不安を伝えてきたときに「そんなに気にしなくていいよ」で終わらせがちです。悪気はないのに、相手には流されたように感じられることがあります。
協調性——ぶつかり方
高めの人は衝突を避け、自分の希望を後回しにできます。そのぶん、不満が言葉にならないまま溜まることがあります。低めの人は思ったことをそのまま言えるので問題が表に出るのが早い反面、言い方がきついと受け取られやすい。どちらも、うまくいくかどうかは「ぶつかったあとに戻せるか」で決まります。
誠実性——約束と生活
一緒に暮らすと差が出やすいのがこの軸です。約束の時間、片づけ、お金の管理。どちらが正しいという話ではありませんが、この軸の差が大きい二人ほど、生活の細部で摩擦が起きやすいのは想像がつくはずです。先に「ここは合わない」と分かっていれば、性格の問題ではなく運用の問題として扱えます。
外向性——一緒にいる時間の設計
人と会うことで元気になる人と、ひとりの時間で戻る人では、休日の理想像が違います。どちらかが我慢し続ける形になると続きません。差そのものより、差を前提に予定を組めるかが効きます。
開放性——新しさの求め方
新しい場所や考えに惹かれる人と、慣れた形に安心する人。旅行先の選び方から将来の決め方まで、地味に効いてきます。ここも優劣ではなく、どちらの側にも譲れる場面を作っておくかの話です。
似ている相手がいいのか
「似た者同士がいい」「反対のほうが惹かれ合う」——どちらもよく言われます。研究の結果は、どちらにも大きく味方していません。性格の似ている度合いと関係満足度の関連は、あっても小さいというのがおおまかな結論です。
ただし、似ていないこと自体は問題にならなくても、似ていない場所がどこかは生活の具体に効きます。誠実性が大きく違えば家事の基準がずれ、外向性が違えば休日の使い方がずれる。性格診断がいちばん役に立つのは、この「ずれる場所を先に知っておく」使い方です。
結果をどう使うか
- 相手を評価する道具にしない。「あなたは協調性が低いからダメなんだ」は、診断のいちばん荒い使い方です
- 自分の説明書として渡す。「不安が出たとき、責めているわけじゃなくて確認したいだけ」と先に言えると、同じ出来事の意味が変わります
- ずれる場所を運用で埋める。性格を変える話ではなく、予定の組み方や役割分担の話にできます
- 関係で悩みが続くときは、診断結果ではなく人に相談する。これは読みものであって、カウンセリングの代わりにはなりません
参考文献
- Malouff, J. M., Thorsteinsson, E. B., Schutte, N. S., Bhullar, N., & Rooke, S. E. (2010). The five-factor model of personality and relationship satisfaction of intimate partners: A meta-analysis. Journal of Research in Personality, 44(1), 124–127.
- Karney, B. R., & Bradbury, T. N. (1995). The longitudinal course of marital quality and stability: A review of theory, method, and research. Psychological Bulletin, 118(1), 3–34.
- Joel, S., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(32), 19061–19071.
5つの軸そのものの説明はBig Fiveとは、質問項目と採点方法はこの診断についてにまとめています。