Big Five(ビッグファイブ)とは?
Big Five は、人の性格を5つの連続した軸の高さでとらえる考え方です。「16タイプのどれか」のように人を箱に分けるのではなく、5本のものさしの上で、自分がどのあたりに立っているかを見ます。
Big Five の考え方
Big Five は、誰かが「性格はこの5種類に分かれているはずだ」と決めたものではありません。出発点は、人の性格を表す言葉そのものでした。「社交的」「几帳面」「心配性」といった無数の語を集め、どの語とどの語が一緒に当てはまりやすいかを大量のデータから調べていくと、言葉のかたまりが決まった数に落ち着く。それが5つだった、という順番です。
この5つのまとまりは、英語だけでなく複数の言語・文化のデータでくり返し確認されてきました。そのため Big Five(五因子モデル、Five-Factor Model)は、現在の性格研究でもっとも広く使われる共通言語のひとつになっています。学術研究や職業適性の研究で「性格」を測るとき、背景にこの5軸が置かれていることは珍しくありません。
大事なのは、どの軸も「高い方が良い」ではないということです。5つの軸は健康診断の数値ではなく、行動のクセの向きを表す方位磁針のようなものです。
開放性とは?(Openness to Experience)
新しい考え、想像、抽象的な話、まだ見たことのないものにどれくらい引きつけられるかの軸です。「知的好奇心」や「想像力」と訳されることもあります。
高めの人に多い様子
比喩や抽象的な議論を扱うのが自然で、本や作品、考えごとそのものを楽しめます。選択肢があるとき、前例より「まだ試していない方」に目が行きやすい。話が抽象度の高い方へ広がっていくことを面倒と感じません。
低めの人に多い様子
確かめられていること、手触りのある具体的な話から考えます。うまくいっている方法を無理に変えないという判断ができ、地に足のついた現実的な選択が得意です。抽象論が続くと「それで、実際どうするのか」を知りたくなります。
注意: この軸は知能や学歴の高さを測るものではありません。「新しさに引かれるか、確かさに落ち着くか」という関心の向きの違いです。
誠実性とは?(Conscientiousness)
段取りを決めて進めるか、状況を見ながら進めるかの軸です。日本語の「誠実」から道徳性を連想しやすいのですが、この軸が表すのは秩序・計画・やりきる力の方向で、人としての善さではありません。
高めの人に多い様子
先に手順を決め、決めたとおりに運びます。細部のズレに気づきやすく、やるべきことを後ろに積み残しません。「任せたことが返ってくる人」と見られやすい一方、予定が急に崩れる状況ではストレスを感じることもあります。
低めの人に多い様子
走りながら形を決めていくことを好みます。細かい手順を先に固めないぶん、状況が変わっても立て直しが早い。締め切り間際に一気に集中するタイプもここに含まれます。
外向性とは?(Extraversion)
人との関わりや外からの刺激によって気持ちが動きだしやすいかの軸です。よく誤解されますが、コミュニケーション能力の高さを測る軸ではありません。内向的な人が人付き合いが苦手というわけでもありません。
高めの人に多い様子
人が集まる場でエネルギーが上がります。自分から話しかけ、その場の流れをつくる側に立つことも多い。考えを声に出しながら整えていくため、対話の中でアイデアが固まります。
低めの人に多い様子
ひとりの時間や少人数の場で気持ちが整います。話す前に頭の中で考えをまとめるため、会議では聞き役に回り、あとで的確な一言を出すことがあります。深く付き合う相手を選ぶ傾向があります。
協調性とは?(Agreeableness)
相手の気持ちや立場をどれくらい前に置いて動くかの軸です。「優しさの量」ではなく、調和を重く見るか、自分の見方を保つことを重く見るかの方向を表します。
高めの人に多い様子
相手の感情が自然に伝わってきて、それを前提に動きます。場をやわらげる役に回りやすく、人から相談を持ち込まれることも多い。反面、断ることや対立を引き受けることに負荷を感じやすい面があります。
低めの人に多い様子
相手に流されず、自分の見方を保ちます。同意できないときにその場で言えること、事実と感情を切り分けて話せることは、交渉や意思決定の場面で効いてきます。
神経症傾向(情緒安定性)とは?(Neuroticism)
不安・緊張・気分の波といった感情がどれくらい動きやすいかの軸です。この軸は表と裏の2通りの呼び方があります。
- 神経症傾向(Neuroticism)…感情が動きやすい方向を高いとする呼び方
- 情緒安定性(Emotional Stability)…落ち着きを保ちやすい方向を高いとする呼び方
同じ1本の軸を、どちら側から見るかの違いです。本サイトでは神経症傾向として表示しているので、スコアが低いほど情緒安定性が高い、と読み替えられます。
高めの人に多い様子
感情のセンサーが敏感で、小さな変化や不穏な気配に早く気づきます。起こりうる問題を先に想像できるため、リスクの発見や丁寧な準備につながることもあります。そのぶん気持ちが揺れる場面も多く、休息を自分で確保できているかが効いてきます。
低めの人に多い様子
気持ちの揺れが小さく、緊張する場面でも平静を保ちやすい。周囲から「動じない人」と見られます。一方で、他の人が感じている不安に気づきにくいことがあります。
注意: この軸は心の強さや健康状態を表すものではありません。スコアが高いことは病気でも欠点でもなく、不調が続くときに参照すべきは診断結果ではなく医療の専門家です。
スコアの読み方
本サイトのスコアは、各軸10問の回答(1〜5点)の平均を0〜100の目盛りに置き換えただけの数字です。
- 偏差値ではありません
- パーセンタイル(上位何%)ではありません
- 他の人と比べた順位ではありません
つまり「外向性70」は「10人中7番目に外向的」ではなく、「外向性に関する10問に、平均してやや当てはまる寄りで答えた」という意味です。比べるなら他人とではなく、自分の5軸のあいだで比べてください。どの軸が相対的に高く出たか、そのかたちのほうが情報量があります。
MBTIとの違い
よく並べて語られますが、成り立ちが違います。
| Big Five | MBTI | |
|---|---|---|
| 表し方 | 5つの軸の高さ(連続した数値) | 16タイプのいずれか(分類) |
| 成り立ち | 性格を表す語の統計分析から見つかった | ユングの類型論をもとに作られた |
| 結果の形 | 「外向性はやや高め」のような程度 | 「INFPです」のようなラベル |
| 研究での扱い | 学術研究で広く使われる | 研究より自己理解・研修などの場で普及 |
タイプに分ける形は覚えやすく、共有もしやすい利点があります。一方、境界線のすぐ近くにいる人は、同じ回答でも日によってラベルが変わってしまいます。Big Five が軸の高さで表すのは、この「ほとんど真ん中」という状態をそのまま扱えるようにするためです。
なお本サイトは Big Five にもとづく独自の実装であり、MBTIの設問や採点方法は一切使っていません。MBTI は The Myers-Briggs Company の商標です。
性格は変わるのか
短期的には安定していますが、長い時間をかければ動きます。多くの研究では、年齢が上がるにつれて誠実性と協調性が少し上がり、神経症傾向が少し下がるという緩やかな変化が観察されています。役割の変化(就職、育児、引っ越しなど)も影響します。
つまり診断結果は「生まれつき決まった正体」ではなく、いまのあなたの回答のスナップショットです。半年後に受け直すと少し違うかたちになることもあります。それは測定の失敗ではなく、ふつうのことです。
気をつけたいこと
- 自己申告であること。「自分はこうありたい」という気持ちが回答に混ざることは避けられません。
- その日の状態に影響されること。疲れているとき、大きな出来事の直後は、いつもと違う回答になりやすいです。
- 人を判定する道具ではないこと。採用・評価・相手の決めつけに使うものではありません。
- 医療の代わりにならないこと。気分の落ち込みや不安が続くときは、診断結果を眺めるより専門家に相談してください。
出典・参考
- International Personality Item Pool
- Goldberg, L. R. (1992). The development of markers for the Big-Five factor structure. Psychological Assessment, 4(1), 26–42.
- Goldberg, L. R. (1999). A broad-bandwidth, public domain, personality inventory measuring the lower-level facets of several five-factor models.
- McCrae, R. R., & Costa, P. T. (1987). Validation of the five-factor model of personality across instruments and observers. Journal of Personality and Social Psychology, 52(1), 81–90.
本サイトの質問項目の利用条件についてはこの診断についてにまとめています。